ヴィム・ホフ & コエン・デ=ヨングの共著「ICEMAN」を読み、そこで薦められている水シャワー健康法を試している。

さまざまな効能を持つ寒冷療法

 本文を書いているのは、呼吸やランニングに関する著書のあるコエン・デ=ヨングという人だが、主役なのは共著者であるヴィム・ホフの方である。この本は、コエン・デ=ヨング氏が、ホフ氏に会い、取材し、そのメソッドを学んだ内容をまとめた書なのだ。

 ヴィム・ホフ氏はオランダ生まれのヨガの修行者。呼吸法と寒冷療法によって人間の生命力や潜在力を引き出す「ヴィム・ホフ・メソッド」の実践者であり指導者でもある。北極圏でハーフマラソンをしたり、氷風呂に長時間入ったりなど、さまざまな超人的記録も保持しているのだそうな。

 寒さによる刺激は、実は体にいい―――とは古くから民間療法の分野ではいわれていたことであるが、最近になってその実際の効果が(100%科学的に実証されたとはいわないまでも)わかってきている。

  • 褐色脂肪細胞(カロリーを燃やし、体温を高める「良い脂肪」)の活性化
  • それによる体重減少
  • 風邪をひきにくくなる
  • 血行が良くなり心臓が強くなる
  • 髪の密度が増える
  • 肌の張りが良くなる
  • 体力、メンタルの両方で元気になる
  • 甲状腺やミトコンドリアの機能を改善し、活性化する

 といったようなものだ。

きついがだんだん体から熱が湧き上がる

 もとより寒冷療法には多少の興味があったのである。

 シリコンバレー式バターMCTオイルコーヒーでおなじみ、デイブ・アスプリーも著書「シリコンバレー式頭が良くなる全技術」において寒冷療法やヴィム・ホフ・メソッドを薦めている。

 また様々な依存症について書かれたアンナ・レンブケの「ドーパミン中毒」では、寒冷療法による気分の向上で薬物依存症から脱却した人物のエピソードが紹介されていた。

 なかなか凄そうだと思い、それでこの本を読んでみることにしたのである。

 さて本の中の寒冷療法で初心者向けとして薦められているのが水シャワーである。誰でも簡単に始められるし、また寒冷療法の効果の大部分は、30秒程度の短時間の水シャワーのみでも十分得られるという研究結果もあるようだ。

 さっそくやってみることにした。

 ヴィム・ホフ・メソッドの具体的な理論や方法は本を読んでいただきたいが、水シャワーに関しては、お湯から徐々に温度を下げて、体を慣らしていくのがいいとされる。その一方、別の寒冷療法においてはいきなり水をぶっかけ(心臓が止まらない範囲で)、体をびっくりさせるのが有効という説もある。

 まだるっこしいのや面倒なのは好かないので、いきなり水をぶっかけてみることにした。

 まあ―――きつい。体が「やめろ、殺す気か!?」と叫ぶ。10秒くらいしかもたない。

 水とお湯を交互に浴びるのが良い、という寒冷療法のテクニックを聞いたことがあったので、やってみた。そうして交互に寒さと暖かさを繰り返していると、最初の感覚からすれば驚くべきことに、水の冷たさにも慣れてきた。体の奥から、熱量が発生している気がする。

実感できた水シャワー療法の効能

 そんな感じで始めた水シャワー療法。開始して1ヶ月くらいだが……非常にいいと思っている。

 私が体感した効能は以下。

  • 寒さに強くなる。冬場で、シャワーを浴びる前は暖房の効いた部屋で厚着していたのに、シャワー後では暖房OFFで、しかも下着姿で数時間過ごせたりする。
  • 少なくとも数時間、気分が上がる。意欲や集中力が高まる。
  • 体が引き締まり、多少痩せた(ダイエットを意識した食生活をしているので、その効果かもしれないが)。
  • 皮膚のコンディションが良くなっているように思う。しばらく前に野外で喰らったダニの噛まれ跡が薄くなってきた。
  • 精力が高まるように感じる。
  • 風邪や病気にはなっていない。

水シャワーのデメリット。髪の荒れとその対策

 しかしちょっと違和感もあった。髪や頭皮、脳への効能も期待して、水を頭から浴びてもいたのだが、入浴後に髪の毛がやたらゴワゴワ・バサバサする―――つまり荒れているように感じられたのだ。

 気になったのでインターネットをさまよい調べてみたところ、実際水シャワーで髪の毛の傷みを感じる人はいるようだった。その原因ははっきりしないが、ひとつの推論として、

「冷水のままだと水道水の塩素がそのまま残っている。それが髪に悪影響を及ぼしているのではないか」

 という説を目にした。

 なるほどと思った。お湯であれば沸かす過程で塩素がある程度飛ぶのに対し、確かに冷水だと塩素もそのままである。

 水道水の塩素は水の衛生を保つために必須の添加物だが、体にいいものではないのは確か。しかも飲むよりむしろ、風呂やシャワーのほうが有害性を発揮しやすいのだそうだ。

 グッドな対策はひとつしかない。浄水機能付きのシャワーヘッドだ。

 Amazonなどで浄水機能付きシャワーヘッドを調べた。いろいろある。ビタミンCを濾過剤として利用しているものが塩素除去効果も高いようだが、その代わり濾過剤の消耗が激しいともいう。

 いろいろ見比べ、王道ではあるが、浄水器メーカーとしてお馴染み東レの「トレビーノ トレシャワー」とやらにしてみた。濾過剤は活性炭である。

 さて届くなり、さっそくそのトレシャワーを試した。お湯にせよ水にせよ、肌にかかる感触がやわらかい。どこか「とろり」とした感じすら覚える。皮膚にはとても優しそうだ。

 肝心の髪にはどうであろう? 水をぶっかけたのち一旦お湯を浴び、その後シャンプーした。シャンプーやトリートメントを洗い流す際にはお湯を使ったが、最後の締めでも水を頭にかけた(シャンプーの際には、汚れを落としやすいようお湯を使って毛穴を開いておくのがいいそうだ)。

 それを続けて数日―――髪の荒れは収まり、とてもいいコンディションになってきた。問題は解決した! 肌に関しても、よりいい状態になっている気がする。

 これまで興味を持たなかったが、浄水シャワー、かなりの優れものである。もっと早く試せばよかった(なお湯船のお湯用の塩素対策としては、ビタミンC粉末を1g程度入れるか、専用のビタミンC入浴剤を利用するのが有効らしい)。

 現状の私の水シャワーの浴び方としては、

  1. まず頭も含め、全身に冷水をかける(10~20秒)。
  2. 今度はお湯を、頭を含め全身に浴びる。
  3. PPTシャンプーで頭を洗う。
  4. PPTの成分が髪を染み込ませるため、3分待つ(意味があるのかどうかは分からないが、なんとなく)。その間に体を洗い、体への冷水シャワー(10~20秒)を2~3回行う。
  5. お湯でシャンプーを洗い流し、トリートメントをつける。
  6. トリートメントの成分が髪を染み込ませるため、3分待つ。その間に体へ冷水シャワー(10~20秒)を2~3回行う。/li>
  7. お湯でトリートメントを洗い流す。
  8. 締めで頭も含め、全身に冷水を浴びる(20秒~30秒)。

 といった感じでやっている。なんにせよ心身の健康と美容にいい習慣だと思うので、継続したい。

【writer : doku】