Is it allergic? これはアレルギーですか?

 いきなりタイトルに反するようだが、これからする話は、実際にはアレルギーの話ではないのかも知れない。

 そう思わせながら、やっぱりアレルギーの話なのかも知れない。

 ともあれ、これはなにかを食べたらクシャミや鼻水が止まらなくなるとか、皮膚にブツブツが出るとか、そういうお話ではないということはご了承いただきたい。

苦手な食べ物は2種類に分かれる

 苦手な食べ物というものがある。

 みなさんにもあるだろう。誰にもあるだろう。

 私も、ある。ただ、私にとって苦手な食べ物は、二種類に分かれる。

  • 単純に、味覚的においしいとは思えないもの。
  • そいつを食べると、なぜか体調が悪くなってしまうもの。

 今回は、後者に当たるもののお話だ。

おいしいのに、おいしくてたまらないのに

 それは、いつ頃のからだっただろうか……。

 たぶん、十代前半の頃。それよりもっと以前…小学生以下の幼い頃は、大丈夫だったように記憶している。

 タラコスパゲッティを、食べたのである。

 シンプルなタラコスパゲッティ。スパゲッティに、市販のタラコとバターによるパスタソースをからめ、上に海苔を散らせたやつだ。

 食べてる最中は、超幸せ。

 タラコの塩気やうまみ、バターのコク、それらをしみこませたパスタや海苔。すべてが相性抜群に融合し合い、恍惚とするような美味しさを生み出している。

 食べ終わって、満腹。まだ幸せだ。

 しかし二時間くらいたった頃だろうか。

 チクリ…

 胃に違和感を感じる。

 チクチク、チクチク…

 なんだかよくわからないが、おなかが痛くなり始める。

 立ってられないくらいだ。唸りながらおなかを抱え、ベッドで胎児のように丸くなる。

 脂汗をかきながら痛みに耐える。いつの間にか眠りに落ちるまで、苦痛は続く。

いつだってそいつを食べると同じになる

 最初は、タラコスパゲッティが問題だとは思わなかった。

 だってあんなにおいしいものが、カラダに害がある訳ないじゃないか。

 だがそののちも、タラコスパゲッティを食べるたびに、決まって同じ症状になる。

 そのうち、タラコスパゲッティだけではない、他にも明太子などを食べたときにも、やはり同様の苦痛に襲われることに気付いた。

 次第に認めざるを得なくなる。タラコや明太子の類いが、自分のおなかを痛くしているのだと。

そうなっちゃうのは私だけ

 あれは、なんだったのだろう?

 私が食べたタラコ、明太子が、品質が悪くて痛んでたのだろうか。

 それは、多分ない。同じものを一緒に食べた家族は、まったく平気だったからだ。具合が悪くなったのは私だけである。

 家族だけではない、世の中の多くの人々が、タラコや明太子を日々楽しんでいる。

 私が知る限り、タラコを食べてそうなるのは私だけだ。

 これはなんなのか。

 アレルギー…なのだろうか。

 それとも別の何かなのだろうか。

検証するにはリスクが大きい

 ほかにも、なぜか食べるとおかしくなってしまうものがある。

 大多数の人々は普通に摂ってる。

 一般的にはむしろ体にいいとされる。

 でも私のカラダにはひどい苦痛をもたらす、という。

 この現象の正体は何なのか。検証したい気持ちもある。

 みずからの肉体を使って人体実験し、さまざまなサプリ、健康法を試す、というのは、私の趣味とするところだからだ。

 しかし、残念ながら、ちょっと無理。

 いくらなんでも苦痛が大きすぎる。食後、半日~一日くらい、体が使い物にならなくなる。

避けるが吉

 で、どうするかというと、表題通りである。

 苦手なものは素直にそうと認め、食べるのはよすのだ。

 なんにせよ、なんらかの苦痛がもたらされるというのは、つまるところ体がそれを拒絶しているということだ。

 上の方では、苦手な食べ物は「単純に、味覚的においしいとは思えないもの」「そいつを食べると、なぜか体調が悪くなってしまうもの」の二種類に分かれると書いたが、前者の「味覚的においしいと思えない」ものにしても、体が拒絶しているからおいしく感じない、という可能性は十分にある。

 好き嫌いはダメ、とはむかしからいわれることだが、昨今では「意外と好き嫌いは馬鹿にできない」「体からの貴重なサインだ」という意見もある。

 仮にどれだけ滋養や効能があるとしても、体は拒絶しているのだから、それら良き成分も、きちんと吸収され有益に利用される可能性は、多分低い。

 消化器をはじめとした、肉体の負担になるだけなのだ。

 悲しくは、ある。

 おいしい、おいしい、あのタラコスパゲッティが食べられないことが。

 でもしかたないのだ。たしかにタラコスパゲッティはおいしいが、食後のあの苦痛とはつりあわない。

 いつの日か、天命を迎える夜、最後の晩餐として食べるその日まで、タラコスパゲッティとはお別れなんである。

(PS.繰り返すが、あくまで私の体に合わないというだけで、タラコや明太子の愛好家、生産者、販売業者の方々にアヤをつける意図はない。悪しからず)

【writer : doku】