ビオフェルミン、ビオスリー、ミヤリサンそれぞれの特徴。国産トップスリーのうちどれがいい?
国産プロバイオティクス(善玉菌のお薬やサプリ)にもいろいろあるが、その中でもトップスリーといっていいのは、ビオフェルミン、ビオスリー、ミヤリサンの3種だろう。
そのどれが良いか? となると、愛好家たちの中でも意見は分かれる。飲む人間個人が抱えている症状、体質との相性もあるだろうが、実際に効果の異なる菌を使用しているからだ。
国産プロバイオティクス3種類の比較と考察
代表的な国産プロバイオティクス3種をひとつひとつ考察していこう。
ビオフェルミンは軟便タイプの人に効果的?
大正製薬の新ビオフェルミンS錠は「コンク・ビフィズス菌末」「コンク・フェーカリス菌末」「コンク・アシドフィルス菌末」のブレンド。
どれもヒト由来の菌なので、相性や定着率の良さに期待できる。
ビフィズス菌は大腸に住み、乳酸と酢酸を作ることで腸を整える。
フェーカリス菌とアシドフィルス菌が住むのは小腸。腸内フローラを整えたり、乳酸を作って有害菌を抑制したりする。
さてこのビオフェルミン、どちらかというと下痢や軟便に悩む人向けなのではないかと思う。
メインであるビフィズス菌だが、これはもともと子供の下痢に対して処方されるもので、便の中の水分を吸い取って便を硬くする性質を持つのだそうだ。
よって下痢等の症状のない人が飲むと、便秘方面に傾き、むしろ腸が不調になってしまう可能性もあるという(参考・江田証、著「腸内細菌の逆襲」)。
便秘体質の人が知らずに良かれと思ってビフィズス菌を多く摂り、ますます便秘に苦しむ、というのはありがちな話だそうだ。逆に、下痢軟便に悩む人が「よく出る系」の菌を摂取すると、ますますお腹を下してしまう。
お腹をゆるくして苦しんでいる人は、ビオフェルミンを試してみてはどうだろう。
ビオスリーはかなりパワフルなバランス型
アリナミン製薬のビオスリーに入っているのは生きて腸まで届く「酪酸菌」「乳酸菌(ラクトミン)」「糖化菌」の3種。
酪酸菌は大腸で働き、その名の通り酪酸を生成して腸内のバリア機能を高め、有用菌が住みやすい環境にしてくれる。
乳酸菌は小腸と大腸両方に住む。乳酸を生成し、腸内環境を良くする。
糖化菌は小腸で働く。乳酸菌やビフィズス菌など、有用菌を増やしてくれる。
ビオスリーの最大の特徴は、それら3種類の菌が、互いに増殖させ合い、効果を高め合う「活性菌トリプル共生処方」なるブレンドで含まれていることにある。
そのおかげなのかどうか、ビオスリーはかなりパワフル。実際しっかりと出る。ただし糖化菌がビフィズス菌をサポートするからかもしれないが、やや便は硬くなるかもしれない。ちょっと硬めだが健全な形状をした便が、ヌメり気をともなってズルズルと出てくる。
パワフルな効果を実感したい人、下痢と便秘を繰り返すような人などにおすすめしたい。
ミヤリサンはSIBOの人に向くのでは?
ミヤリサン製薬の強ミヤリサン錠は、会社の創設者である宮入近治博士の発見した「宮入菌」オンリーの整腸剤。
宮入菌は酪酸菌なので、上述通り大腸に住み付き、酪酸を産んで腸の粘膜(バリア機能)を良くし環境を整える。
ミヤリサンはズバリ「出る系」だと思う。色的に理想とされる黄色いものが、ドバドバと出る。
ビフィズス系の便を硬くする作用はないので、ちょっとお腹がゆるくなったように感じるかもしれない。もちろん下剤を飲んだときのようなものとは異なるナチュラルな出方ではあり、便秘気味の人にはいいのではないかと思う。
さらにこのミヤリサン、ちょっとマニアックな話になるが、SIBOに対し良いのではないかという気もする。
SIBOとは日本語では小腸内細菌増殖症といい、文字通り小腸内で細菌が増えすぎてしまう症状のことをいう。
何事も過ぎたるは及ばざるがごとし―――いや及ばざるよりなお悪い。小腸で菌が増えすぎると、本来大腸で起こるはずの食物の発酵が小腸で起こり、大量のガスが発生、小腸が風船のように膨らんでしまう。
小腸は大腸と異なり、大量のガスの発生に対応できるようにはなっていないので、腸壁は痛み、バリア機能も損なわれ、いわゆるリーキーガットになって様々な体調不良の原因となる。下痢、便秘、腹部暴慢などの胃腸症状だけではない、倦怠感、無気力、肌荒れなどにもつながってしまう可能性があるのだ。
SIBOになってしまうと、発酵性の高い食物繊維の豊富な食べ物や発酵食品、プロバイオティクスサプリなど、本来なら腸活にいいといわれるものが逆効果となる。それらによって、ますます小腸内の細菌を増やしてしまうからだ。
よって対策としては、そういった逆効果になってしまうものの摂取をひかえる、ということになるが、それはそれで大腸の腸内フローラが貧しくなり、便秘になってしまったりもする。
そこで大腸に住む酪酸菌オンリーで構成されるミヤリサンである。小腸に干渉する菌は含まれてないので、大腸にのみ作用し、SIBOを悪化させずに大腸の環境を良くしてくれる……のでないか。
もちろんそう理屈通りにいくかどうかは分からない。SIBOの症状によっては、大腸内の細菌が小腸に逆流しているというパターンもあるからだ。そういう場合は、大腸のみで住む酪酸菌を増やしても結果として逆効果になるかもしれない。
ただ、もしSIBOっぽい症状があり、かつ腸活食材やサプリなしでは便秘になるという人の場合、一度実験的にミヤリサンを試してみてもいいのではないだろうか。
日本人の腸内フローラはユニークで独特
ところで、日本人の腸内細菌叢というのは、様々な国の外国人と比べてみると、かなりユニークで独特なところがあるらしい。
iHerbなどで買える海外のプロバイオティクスサプリにもすごいものは多くあるが、それらがどうにも相性が悪いと感じられる場合は、日本のメーカーが日本人に向けて開発した国産プロバイオティクスを試してみてはいかがだろう。