おにぎり

 みんな大好き、コンビニおにぎり。

 お店に行けば、何種類も並んでいて、どれにするか悩んでしまう人気食品である。 

 しかしながら、多くの出来合いの食品同様、コンビニおにぎりもまた、あまり体によろしいものではない、と一般的にはイメージされている。

コンビニおにぎりの是非

 いうまでもなく、コンビニおにぎりはシンプルな食品だ。

 メインはご飯……炊いた米である。

 そのご飯の中に入れる具材、包む海苔。基本的には、それらの食材から成っている。

 だが「コンビニおにぎりが体に悪い」派が問題視するのは、それら食材のどれでもない。

 裏側の原材料一覧を見ると書いてあるだろう、「ph調整剤」と表記される、腐敗・変色防止のための添加物だ。

 それが体に悪い…………可能性があるというのである。

 ちょっと曖昧な言い方なのは、実はph調整剤というこの言葉、特定の物質を示すものではなく、

  • クエン酸
  • グルコン酸
  • 炭酸カリウム
  • リン酸
  • コハク酸
  • アジピン酸
  • (他にもたくさん!)

 等々の添加物を、

「食品のphを4~5の酸性に保つ」

 目的のためにブレンドしたものの総称であるからだ。

 同じ「ph調整剤」表記でも、実際の中身は各メーカーによってバラバラ、ということもある。

 だから、

「なにが入っているか分からない」

 ということで、

「健康に悪影響……かも知れない」

 そのように恐れられているのである。

 けれども実際のところ、ph調整剤に使われる添加物の多くは自然界に存在するものだ(自然界にある=安全、というのはもちろんナンセンスだが)。

 各成分をひとつひとつ調べていけば分かることだが、よっぽど大量に摂取しない限り、人体に悪影響が出るようなことはない。

 むしろそういうのを使わないほうが、食中毒等の発生が怖い! てなものであり、むしろ健康のためにプラスな添加物、と判断するのが真っ当かと思われる。

(食中毒といっても、医者にかからねばならぬような深刻なものだけとは限らない。

 無自覚の内にちょっと傷んだものを食べで微妙に具合を悪くする、ということを繰り返し、原因の分からぬ憂鬱な日々を過ごしているひとは、案外多くいる。

 傷んでない高品質なものを食べることは、大切なのだ)

コンビニおにぎりはむしろ健康にいい…のではないか?

 さて、コンビニおにぎりが害悪なんてことはない! という内容だったが、今日はそれで終わらず、コンビニおにぎりには、実は身体への非常に高い有益性もある……のではないかという方向へ、話を膨らませてみようかと思う。

「体に害はない」

 ではない。

「むしろ体にいい!」

 である。

 なぜそんなことをいうかというと、おにぎりは冷や飯だからである。

 冷や飯……冷めたご飯だ。そりゃあ当然。炊きたてを即座に握りでもしない限り、おにぎりのご飯は冷めているだろう。

 その冷めたご飯。健康のために非常にいい! という説が、実はあるのだ。

最強のプレバイオティクス、レジスタントスターチ

 その理由は、冷や飯の中にはレジスタントスターチ(難消化性デンプン)が含まれているから。

 このデンプン質は難消化性と呼ばれるとおり、胃ではなかなか消化されず、腸内で腸内細菌の餌として分解される。

 腸内細菌の餌となり、腸内フローラを改善するプレバイオティクスとして働くわけだ。

 もちろん、プレバイオティクスにもいろいろある。サプリメントとしても、オリゴ糖、難消化性デキストリン、イヌリンなどが人気だ。

 じゃあそれらのサプリでいいじゃないか、と思うなかれ。一説では、レジスタントスターチは他のプレバイオティクスを遙かに上回る、最強のプレバイオティクスではないか、と語られているのである。

 多くのサプリ、食物繊維ではいまいち効果を得られなかったという人でも、レジスタントスターチを摂取することで劇的な体質改善を得たという例が多くある。

 またレジスタントスターチを餌とする類の細菌は、その消化の過程で酪酸塩という有益な短鎖脂肪酸を生成するといわれている。

 酪酸塩は腸と脳を健康に保つ大切な栄養素だ。レジスタントスターチを摂ることで、体を元気に、頭脳を明晰に、精神をポジティブにすることができるのである。

 他には、食事満足度を高め食欲を抑えてくれたりだとか、ミネラルの吸収率をアップしてくれたりだとか。

 もちろん、食物繊維の王道として、便秘、軟便等の改善にも役立つ。

おにぎりを食べて元気が出るなら、レジスタントスターチのおかげかも

 もちろん、この手の腸内環境改善用の栄養素というのは、プロバイオティクスにせよプレバイオティクスにせよ相性があるので、合わない人もいるかも知れない。

 ただ、古くからご飯を、冷や飯を、おにぎりを積極的に食べてきた我々日本人。その食の歴史を考えると、このレジスタントスターチ、非常に日本人に合った栄養素だと考えられるのではないだろうか。

 おもしろいのは、ご飯の場合、冷めて冷や飯になった段階でレジスタントスターチが発生するが、それを温め直してしまうと、レジスタントスターチとしての効果は(全部ではないが)消えてしまうということだ。

 レジスタントスターチの恩恵を得たいなら、冷や飯は冷や飯のままで頂こう。

 また、ただご飯を冷やすだけでなく、ちょっとした一工夫により、より効果的にレジスタントスターチを得ることもできる。

  1. 小さじ一杯のココナッツオイルを溶かした水でご飯を炊く。
  2. 炊飯後はさまして、冷蔵庫で一晩冷やす。

 という方法だ。私はココナッツオイルが苦手な体質なので試したことはないが、非常に良質のレジスタントスターチがつくられるとか。

 なんにせよ、セブンイレブンの蒸し鶏サラダあたりをおかずに、おにぎりを2個程度…という軽い食事を摂った後というのは、凄くコンディションがいいのを感じるのは確かである。