御岳百草丸

 御岳百草丸という伝統的お薬がある。

 長野県製薬株式会社製、1938年より製造が続けられている、ロングセラー商品だ。

長野の万能薬、御岳百草丸

 一応は胃腸薬、ということになっているが、その効果効能は多岐に渡る。

 パッケージに記載してあるだけでも、

「食べ過ぎ、飲み過ぎ、胸焼け、胃弱、食欲不振(食欲減退)、消化不良、胃部・腹部膨満感、もたれ、胸つかえ、はきけ(むかつき、胃のむかつき、二日酔い・悪酔いのむかつき、嘔気、悪心)嘔吐」

 と様々。しかし御岳百草丸の人気の理由は、その記載にはない隠れた効能にもある。

 その効能とは、精神状態に対するもの。御岳百草丸には、抗ストレス作用があり、軽度の鬱症状を軽減するというのだ。

 そのようなマル秘効能は、むろん飲んだ人たちの口コミから始まり有名になったものではあるが、一方で十分な根拠もある。

御岳百草丸によるコルチゾール対策

 御岳百草丸の成分に、漢方の漢方の黄柏(おうばく)・厚朴(こうぼく)が含まれている。

 黄柏とはキハダという木の樹皮のこと―――その薬用名だ。黄柏には様々な薬用成分が含まれ、非常に優秀な抗菌作用があるとされている。赤痢、チフス、コレラといったおそろしい病原菌に対してすら効能があるのだとか。

 厚朴はホオノキの木の樹皮で、体を温め、胃を健やかにし、痛みや神経を静め、抗菌や抗潰瘍にも効果があるとされている。

 このふたつに、コルチゾールの過剰な分泌を抑えてくれる効果もある、というのだ。

 コルチゾールとは? 一種のストレスホルモンだ。

 外部から、自らに害をなすと思われる刺激・情報を感じると、副腎がこのコルチゾールを分泌する。

 コルチゾールは血圧を高めたり、タンパク質を分解してエネルギー化したり、精神状態を神経質なものにするなどして、異常事態にそなえる。逃げるか、それとも戦うか―――なんにせよ、迫る脅威に対応する準備をするのである。

 しかしストレスの多い現代社会において、延々ストレスを受け続けていると、コルチゾールが出っぱなしになってしまい、副腎疲労に陥ってしまう。

 副腎疲労になると、慢性的な疲労感に悩まされたり、精神が不安定になったり、無気力になったりと、鬱の症状が出てくる。

 黄柏(おうばく)・厚朴(こうぼく)はそのコルチゾールの出過ぎを抑えることで、副腎疲労をふせぐといわれている。

 またコルチゾール過多による悪影響(高血圧やイライラなど。自然界においてはそういう状態も必要になることがあるのだろうが、現代の人間社会においては有害になる場合が多い)も抑制し、心身の無駄な消耗をふせぐ。

 また胃腸薬としての効果も無視してはいけない。

 胃と腸の調子は精神状態に直結しているもの。胃腸の調子が良くなれば、自然と精神状態も改善される。

 コルチゾールに対する効果と胃腸に対する効果、そのふたつが相乗し合って、すばらしい効果を生み出しているのだ。

実際にイライラが静まる

 トップ画像のとおり、ごま粒のような小さな丸薬である。

 そいつを成人(15歳以上なら)一回20粒を一日食後に三回、計60粒の摂取が推奨とのこと。

 飲むときは、手や容器からこぼしてしまわぬよう注意しよう。とても小さく転がりやすいので、床にばらけさせてしまっては回収は困難だ。

 飲むと―――確かに何かスッとする気がする。

 内臓も、そして心も、すっきりした感じになる。

 特に仕事が忙しくてイライラして焦燥気味……というときなどは、これを飲むとまもなく平常心に戻れる。

御岳百草丸の注意点

 注意点としては、漢方系とはいえやはりお薬なので、常用はしないほうがいい、ということだろう。

 サプリ気分で毎日毎日飲んでいたら……個人差はあるだろうが、私の場合はやっぱりなにか変な感じになった(飲むのをやめると直った)。

 心身の調子がおかしいときのみに利用するといいだろう。

 状態に応じて、量を調整してもいい。超小粒な丸薬を一回20粒というのは面倒にも感じられるが、逆にいうと量の微調整ができるということでもある。

 20粒を越えるのは良くないだろうが、20粒だと飲むのがしんどい、なにか不具合が感じられる、という場合は、減らしてみても良いと思う。