なぁ~んだか、ベッドに入っても眠れない。

 微妙に、おなかの具合がよろしくない。

 なんだかわかんないけど、歯が痛む。

 そういうときって、誰でもあると思います。

 そんなときに有益なのが、ちょっとした自己暗示。

 特にお金も要りませんし、労力もかかりません。時間も大して必要ではないでしょう。

 これからご紹介するいくつかの方法を、だまされたと思って、ちょっと生活の中に取り入れてみてはいかがでしょう?

眠れないときの自己暗示

 体は疲れているのに、なぜか神経が高ぶって眠れないそんな夜……

 まずは仰向けに横たわった形で、姿勢を正しましょう。

まずはいい寝姿勢でゆっくり呼吸

 横たわった形で姿勢を正すとはなんぞや? と思われるかも知れませんが、変に体をねじったり、腕を曲げたり胴体の下に入れ込んだりすることなく、

  • 顔はまっすぐ天井を見上げ、
  • 手足はまっすぐに伸ばし、
  • 胴体や腰もひねらない。

 という状態を作る、ということです。

 人によっては「うつぶせ」や「横向き」の寝方のほうが落ち着けるという人もいて、そういう人にはちょっと違和感のある姿勢かも知れませんが、自己暗示を行う場合は、この形のほうが上手にやれます。

 姿勢を正したなら、目を閉じ、まずはゆっくり呼吸をしていきます。

「すぅ~~~」

 と5秒くらいかけて息を吸い、

「はぁ~~~~~~」

 10秒くらいかけて息を吐きましょう。

 それを何度か繰り返すと、多少、心が落ち着いてきます。

 自分自身の状態を客観的に感じられるようになって、

(あ、心臓の鼓動がなんだか速いな)

 とか、

(肩や足の筋肉がこわばってるな)

 などと察知できるようになります。

全身の各箇所に自己暗示

 その状況で、自己暗示を始めます。

 まずは頭のてっぺんに意識を向けます。そうして、実際に小さな声を出してもいいでしょうし、心の中で唱えるだけでもいいでしょう、

「頭頂から力が抜ける。脱力する。疲れが抜ける……」

 ゆっくり、丁寧に、自分に対してささやいていきます。

 実際に、頭のてっぺんがリラックスしたような感じになります。

 この文言は、ご自身でアレンジしていただいて結構です。「力が抜ける」ではなく、「重くなる」「温かくなる」とかでも、同じ効果が得られます。自分にとって最も効き目のある言い方を探してみましょう。

 頭のてっぺんの次は、おでこです。

「額から力が抜ける。脱力する。疲れが抜ける……」

 同じようにやっていきます。

 頭の上から順々に、目、耳、鼻、唇、顎、頬、首、喉……あまり細かいところまでやっていたらきりがないですが、1カ所ずつ丁寧に、同様の自己暗示を繰り返します。

 胴体以下も同様です。肩、腕、手、胸、背中、おなか、内臓、腰、尻、腿、膝、ふくらはぎ、足首、足、つま先……

「◯◯から力が抜ける。脱力する。疲れが抜ける……」

 繰り返します。

 つま先まで終わったときには、全身、かなりのレベルでリラックスしているでしょう。

意識と体が沈んでゆく暗示

 もう寝ちゃえそうなら、そのまま寝ましょう。でもやっぱり無理そうなら……

「全身が重くなる。意識が重くなる沈んでいく、沈んでいく……」

 そんなふうに暗示をかけましょう。

 意識はトロトロしてきて、深い眠りの中へ、徐々に沈んでゆくでしょう。

数を延々と数えてゆく

 もし、それでもやっぱり眠れないなら。

 第三の手として、数を数えましょう。

 別に羊の数を数えることはありません。普通に数を数えていきます。

 催眠の世界において、数を数えていく方法というのはお馴染みです。10、あるいは20から逆順に数を数えていき、0になると同時に催眠にかかる! というふうに被験者を誘導してゆくのです。

 しかし、プロ催眠術師ならともかく、我々素人が自己暗示を行うにおいて逆順に数を数えてゆくのは、逆に緊張を招いてしまうでしょう。

(この数字が0になったら眠らなきゃ、眠らなきゃ)

 という感じになって、ますます眠れなくなります。

 よってここでは、1から昇順に、普通に数を数えていきましょう。

(1…2…3…4…5…)

 一呼吸に数字ひとつ、のペースで、無心に数えていきましょう。上限はありません。リラックスした心で、延々数えてゆくのです。

 そうすれば、いつのまにか眠りに落ちているでしょう。

それでも眠れないなら

 そのときはあきらめましょう(笑)。

 眠れないことを気に病むな、くよくよするな、ということです。

 気にするのが一番良くありません。自己暗示中においても、「眠れ」とか「眠くなる」とかいう言葉は使用しないようにしましょう。

 そんな言葉をかけられると、かえって目が冴えてしまうのが、人間というものだからです。

 ただ、結果的に眠れなかったとしても、上記の自己暗示は有益です。

 眠れなくて、眠れないことにイライラ、カリカリしながら過ごす一晩と……

 眠れはしないんだけど、自己暗示により極めてリラックスした状態でぼーっとして過ごす一晩では……

 やはり後者のほうが、はるかに疲労回復効果が大きいからです。

調子の悪いとき、身心を整える「単語法」

 適切なものを適切な食べ方で摂ることが、快適な毎日の秘訣ですが、そこをどうしても間違えてしまうこともあります。

 変なものを食べたり、変じゃなくても食べ過ぎたり。

 すると胃腸はおかしくなって、元気に、ご機嫌に過ごせるはずだった1日が一転、憂鬱なものへと変わります。

 そんな状況をちょっとでも緩和するための自己暗示です。

 まずは横になっていても、立っていても、座っていてもかまいませんが、姿勢を正します。

 可能であれば、正座をするのが理想です。正座は「胃腸に負担をかけない」+「胃腸を活性化させる」効果があります。

 そうして胃にせよ腸にせよ、苦しみや違和感を感じている箇所へ意識を送ります。

 そうして自己暗示を始めます。

「消化…吸収…消化…吸収…消化…吸収…」

 極めてシンプルな言葉の連続により、ぐったりしていた胃腸は再び動き出し、その言葉通りに、胃の中身を消化し始めるでしょう。

 その消化が終わったと感じた後は、再び胃腸に意識を送り、

「回復…回復…回復…」

 とでもささやいてあげましょう。それだけで、胃腸は疲労から回復します。

 またなにか毒のあるものを摂取したと感じたなら、肝臓を意識し、

「解毒…解毒…解毒…」

 肝臓は動き出し、悪いものを積極的に分解してくれるでしょう。

 馬鹿みたいな方法だとお思いかも知れませんが、このシンプルな「単語法」というやり方は、他の下手な自己暗示より遥かにパワフルです。

 ここではおなかの調子を整えるために、というテーマで取り上げましたが、その他、どんな物事にも応用できることはいうまでもありません。

痛みやつらさを緩和する「ただ意識する」方法

 病気になったり、虫歯になったり。

 大いなる痛みにより、ヒステリーを起こしそうな状況に陥ることも、人生しばしばあるでしょう。

 ですが癇癪を起こしたところで、痛みも苦しみも消えない。むしろますますひどくなるのが常。

 そういうときは、まずはゆっくり呼吸をし、心を落ち着けてから、痛みのある部分へ、冷静に意識を向けましょう。

 ただ単純に痛いだけではなく、気持ち悪かったり、熱を帯びていたり、痺れたような感覚があったりするかも知れません。その状態を冷静に受け入れ、観察します。

 重要なのはその状態に余計な解釈を下したり、妄想したり、心を乱したりしないこと。

(ああ、痛い、苦しい。ちくしょう、自分がいったい何をしたというんだ。何が原因でこんなことになったんだ。本当に治るのか? ずっとこのままなんじゃないだろうか)

 なんて余計なことは考えず、痛いなら痛い、不快なら不快でいいから、そのあるがままをただ静かに、意識の目で見つめるのです。

 するとだんだん、痛みは軽くなってきます。あるいは痛みを冷静に受け入れられるようになって、結果、苦しみが緩和されます。

 そして人体の治癒機能は、スムーズにその箇所の修復、調整を開始します。

 余計な思考、感情の乱れは、人体の修復機能を邪魔するだけなのです。

 それを取り去る―――つまり心を穏やかにするだけで、怪我や病気の治りが早くなることは古来より知られていることです。

 そこへ「単語法」による暗示をくわえれば、より効果的となるでしょう。

「回復…修復…修正…治癒…」

 そのような単語を、ポジティブでもネガティブでもない冷静な心持ちで、お経を読むように繰り返しましょう。

 人体の機械的機能に対し、機械的な命令を出すのです。どこまでも冷静に、淡々と行いましょう。

まとめ

 ここに書いたのは、

  • 姿勢
  • 呼吸
  • 言葉(あるいは思念)
  • 意識

 のみで行えるシンプルかつ簡単な自己暗示ですが、ほかにもより複雑な方法、香りや光を利用した方法などもあります。

 また「自己」暗示とはことなりますが、いわゆる「催眠CD」にも、なかなかにおもしろく有益なものも多いです。

 興味がおありの方は、一度くわしく調べてみてはいかがでしょう。

【writer : doku】