近所に焼肉メインのバイキングレストランがあるのです。

 むかしからあるお店です。ひょっとしたら、20年以上前から存在するかも知れません。人気のお店のようです。

 ただ、私はほとんど利用したことがありませんでした。

 バイキングなんぞで粗悪な飯をドカ食いするより、自炊すべきだ、と考えていたからです。

 しかしながら先日、身内と食事をする機会があってその店に行ったのですが、なかなかに悪くない。

 いや、利用の仕方によっては、健康促進やダイエットにも使えるのではないかと思ったのです。

焼肉バイキングがダイエットに使えると考えた理由

 行ってみて、結構びっくりしたのです。

 取り放題の料理が一杯並んでいますが、そのラインナップ、実に豊富です。

 数十種類の、専門店顔負けの寿司もある。

 自分で茹でて作るラーメンやうどんもあり、スープも好みに合わせて何種類もある。

 カラフルな幾種ものアイスクリーム。それにトッピングできるたくさんの菓子類。何種類ものソースソース。あんこやクリーム。

 ほかにも焼きそば、パスタ、たこ焼きやお好み焼き、フライドチキンetc、etc……。

 実においしそうですが……まあそれらはどうでもいいです。

 いくらなんでもジャンクフード。調子に乗ってそんなものどもをドカ食いしていたら、健康もダイエットもないでしょう。

 私が感心したのは、肉類と、そして野菜・フルーツ類の豊富さでした。

 鶏肉あり、豚肉あり、牛肉あり、マトンもありました。

 鶏肉であればカワ、モモ、ムネ、ササミやセセリ。

 豚肉ならバラもロースもトントロもトンソクも。

 牛肉も同様。バラ、ロース、ハラミ、タン、もちろんホルモンなど内臓類……

 また肉類ほどではありませんでしたが、魚、イカ、タコ、貝などの魚介類もあり。

 野菜類は焼野菜用としてはキャベツ、ナス、ピーマン、パプリカ、にんじん、カボチャ、アスパラガス、キノコ、タケノコ、ニンニク……

 サラダにするための生野菜として、千切りキャベツ、レタス、サニーレタス、ブロッコリー、カリフラワー、サンチュ、きゅうり……

 フルーツ類も充実。リンゴ、オレンジ、グレープフルーツ、ブドウ類、スイカやメロン、紛れもないスーパーフードのひとつであるブルーベリーまでありました。

 正直、スーパーなどの肉・野菜・フルーツコーナーにある大概の食材は、全部そろっているのではないかという品揃えでした。

 これで、ランチタイムだったこともあり、お値段¥1380-。

 肉類、特に牛肉は、自炊のためスーパーで購入しても高きもの。

 野菜も、スーパーでならともかく、外食でガッツリ食べるとなると結構値が張ります。

 それが、このお値段で食べ放題。どのような組み合わせにしてもかまわない。

 これは、いいのではないか?

 使えるのではないか?

 そう思いました。

 なにに使えるかって?

 糖質制限ダイエットに、です。

なんだかんだで有効な糖質制限ダイエット

 みなさんも聞いたことがあるでしょう。話題の糖質制限ダイエット。

 日々の食事から糖質(炭水化物)を制限する…というよりほぼ摂らないようにして、それ以外の栄養素(タンパク質、脂質、野菜類)は好きに食べる

 糖質以外なら腹いっぱい食べてもかまわないという、シンプルなダイエット法です。

 その人気の秘密は、多くの人々が短期間で実感しているすばらしい効果そのものにあります。

 子供の頃からデブ。大人になってますますデブで、光陰矢のごとし…いつのまにやら四十代。

 もう大病でも患わない限り、スマートになることはあり得ないと思われたオジサンが、ものの数ヶ月で生まれて初めての痩身をゲットしたなどという話がそこかしこで聞けます。

 しかしながら最近では、やや人気が暴走気味な糖質制限ダイエットに対して、異を唱える人々も出てきました。

 その理由として、

  • 糖質は人体に必要不可欠。完全な糖質制限を続ければ必ず身体を壊す。
  • 糖質制限の有効性を証明する理論として、血糖値がどうとかインシュリンがどうとか語られるが、それらの理屈は正直怪しい。
  • 人が痩せるのはあくまで摂取カロリーの低下によるもので、糖質は関係ない。

 といったもの。

 そういった意見に関しては、私もなるほどと思います。

 ただこれらの意見に対する反論も、なかなかにごもっとも。

  • 完全に糖質を摂らないのは確かに危険だが、それほどの完璧な糖質制限をやるには、摂取する食品を徹底的に厳選しなくてはならず、難易度が跳ね上がる。やろうと思っても出来るものではない。
  • 米や麦の主食をカットし、芋や豆、カボチャ、少量のフルーツなどから適度な糖質を摂るかたちにすれば問題ない。
  • 現代人が糖質を摂りすぎなのは確かなことだ。極力減らしていく方針をとる方が身体にいい。
  • 肉や野菜は食事によって得られる満足度が非常に高い。だからお腹いっぱい食べたつもりでも、実際には低カロリーに収まっている。
  • 一方で主食類はカロリーの割に食事満足度が低く、逆に食欲を活性化させる性質もある。主食類を抜くことで、全体的な食べすぎも防げる。
  • つまり糖質制限を行っていれば、自然と、苦痛なくカロリー制限がなせ、結果として痩せるのだ。

 というもの。

 ともあれ、糖質制限ダイエットを行えば、確実に、しかも楽に、痩せられることは間違いない模様。

 副作用等なく安全に行うためには、

  • 減量のためガチでやるなら短期的に。
  • 日常生活において習慣的に行うなら、適量の糖質は摂る形で、ほどほどに。

 としてゆくのがコツのようです。

意外に大きい、糖質制限の隠れた問題点

 他にも糖質制限の恩恵として、

  • 頭の回転が速くなった!
  • すばらしく体調が良くなった!
  • 自分自身の世界観が変わるレベルで精神状態が改善された!

 などという証言も良く聞くところ。

 そういう話を聞かされると、ぜひ試してみたくもなるのですが、もうひとつ、我々庶民にとって深刻な問題点が、糖質制限にはあります。

 すなわち、

「お金がかかる」

 ということ。

 スーパーに行って、各食材のお値段を確認してみましょう。

 お肉、お魚、高いです。

 お野菜、モノ次第ですが、結構高いです。

 その一方で、主食…炭水化物類、安いです。極めて安いです。

 味や質にこだわらないなら、100円も出せば、かなりのカロリーを摂取することができます。

 米、パン、うどん、パスタ……

 これらはつねに貧乏で空腹な若者たちの味方です。

 そんなすばらしいコスパを誇る炭水化物類を遠ざけ、コスパがいいとはいえない肉類、野菜類のみを摂るようにするのです。

 そりゃあお金がかかります。

 そこで……焼肉バイキングなわけです。

1380円、高い? 安い?

 一食、1380円。

 どうでしょう?

 高いでしょうか? 安いでしょうか?

 一食の値段としては、一見ちょっと高い、かもしれません。

 安い鶏肉と白菜やキャベツを買い込んでくれば、糖質制限の条件を満たしつつ、これ以下の値段で腹いっぱいになれるかも知れません。

 ただそれでは栄養が偏ってしまうのが悩みどころ。

 糖質制限をするなら、糖質制限のルールの範囲内で、栄養が偏らぬよう工夫する必要があります。

 そう考えると、魚介類も含めた豊富な品目を食べ放題で1380円というのは、高くない。

 金額の問題だけではありません。

 仕入れ、保管、調理等々のことを考えると、自炊においてこれだけの品目を実現するのは、ほぼ不可能です。

 一人暮らしや、人数が少ない家庭であればなおさらです。

 さらにいえば1380円という値段、私のような「一日一食+α」主義者にとっては、唯一の食事ですので、出せない値段ではありません。

 一日2~3食主義の糖質制限実践者の方でも、メインの一食はバイキングでガッツリ食らい、残りの1~2食は味噌汁だの納豆だのイリコだので軽くすます、という方法もあるではありませんか。

 毎日焼肉バイキングに通ってダイエット……いいアイディアじゃないかと考えているわけです。

自制心は必要

 ただし注意点もあります。

 自制心が必要ということです。

 まさかお店の人に、

「自分糖質制限中なので、ご飯だのパスタだのお菓子だのは下げてくれたまえ」

 などと要求するわけにはまいりません。

 しゃもじだのトングだのを持ってちょっと手を伸ばせば、おいしそうなご飯、焼きそば、パスタ、デザート類が手に入るのです。

 それを我慢して、もくもく肉、野菜、魚を食いつづけられるかです。

 また、ただの塩でもいいので、マイ調味料を持参すると良いでしょう。

 焼肉のタレなどにはかなりのお砂糖が入っているもの。

 ほかにも得体の知れない化学調味料なども含まれているでしょうから、避けるに越したことはないでしょう。

 私は次回行くときは、マイ・塩マイ・オレガノを持参するつもりです。

 オレガノは腸内細菌のいい影響を与え、しかもすばらしくお肉に合って超おいしい。欠かす手はないでしょう。

ところで……

 その、先日、身内との食事会でそのバイキングに行った日ですが、さっそく糖質制限を行ったかというと……

 むろんそんなことはありません。

 ならんでいる料理の数々、ほぼ全種類食べました。

 肉も、魚も、野菜も……!

 白ご飯も、カレーも、チャーハンも、焼きそばも、パスタも、たこ焼きも、お好み焼きも、寿司も……!!

 ケーキも、アイスクリームも、プリンも、ヨーグルトも、杏仁豆腐も、カステラも、ソフトクリームも、フルーツの数々も……!!!

 ……ええ、うまかったですよ。

 さすがに胃が重くなって、その晩は体が使い物になりませんでしたが……

【writer : doku】