ファスティング、というものをご存じでしょうか?

 ファスティング。日本語で言うと、断食です。

 断食というと、修行僧などが行う宗教的な苦行をイメージされるかも知れません。

 確かにそういう利用のされ方もありますが、一方では他の面もあります。

 あえて食を絶つことにより内臓を休息させ、心身をリフレッシュさせる、健康法としての姿です。

 昨今においては(失礼、昨今ではない。大いなる昔から)非常に有益な健康法として、多くの人々に利用されてまいりました。

ファスティング、その神秘的なまでにすばらしい利点

 古来より、多くの偉人たちによって、断食の利点は語り継がれてまいりました。

 かの成功哲学のパイオニア、ナポレオン・ヒルも、その著作の中で断食を推奨していたりします。

 すばらしきファスティングのメリット、その一部をご紹介しましょう。

非常に強力な排泄 ・デトックス効果!

 断食なのですから、その期間中、飲み物を除く「食べ物」は一切摂取しないことになります。

 するとどうなるか?

 胃腸など、体内の消化器官が、体の中の老廃物や悪いものを、一斉に排泄しようと働き始めるのです。

 消化器官とは、もともと「消化・吸収」「排泄」とを同時には行えないものなのです。

 通常の生活において、食事を取ったあと、消化器官は「消化・吸収」モードに入ります。そして無事「消化・吸収」が終了すると、「排泄」モードに移ります。

 消化しやすい、ヘルシーな食事を取っていればそれほど問題にはならないでしょう。

 しかし、もし消化に悪い、脂っこい食事などを大量にドカ喰いしたりした場合、消化器官は時間やエネルギーを「消化・吸収」モードに取られ切ってしまい、「排泄」がおろそかになってしまいます。

 結果、本来不要なもの、排泄すべきものとして処理される、体に悪いものが、体内に残ったままになってしまうわけです。

 断食は、その逆を行います。

 「消化・吸収」モードにほとんど入らないことで、消化器官を「排泄」モードに専念させるのです。

 そうすることで、これまで体内で滞っていた悪いものを、まとめて排泄してしまうのです。

オートファジーによる細胞の蘇り!

 細胞が持つ驚異の力、オートファジー

 自食作用ともいわれ、東京工業大の大隅良典栄誉教授がこの研究によりノーベル生理学・医学賞を受賞したことで世間でも有名となりました。

 難しい説明は省きますが、その働きとは、細胞内において様々な過程で異常なものとなったり、劣化したりしたタンパク質を、細胞みずからが分解し(自分の構成物質を自分で食べちゃうわけです)、正常なものに再生産する、というもの。

 いわば人体のリサイクルシステムであります。

 こいつがしっかり働いてくれないと、上記の異常なタンパク質が体内に残ったままになり、身体に害をなしてしまいます。

 難病と呼ばれるいくつかの病気の原因は、このオートファジーがうまく機能していないことにある、ともいわれています。

 逆にいえばこれがばっちり機能していれば……細胞レベルでのアンチエイジング、細胞レベルでの若返りを得ることができ、健康にも美容にも大いに益! というわけです。

 そんなすばらしいオートファジーを活性化させる方法の一つが、ファスティング。

 食事から補給されるタンパク質が足らなくなると、人体はそれを補うべく、オートファジー作用によりタンパク質を再生産しようとするとのこと。

 意図的に栄養の足りない状態を作り、オートファジーを起こすことで、体に悪いものを処分してしまえるのです。

禁煙、禁酒に有効!

 多くの断食経験者、断食指導者が証言していることです(上記のナポレオン・ヒルも)。

 長いものでなく、一週間程度の断食でOK。食事と一緒に、タバコと酒もやめるのです。

 断食期間中は苦しくとも、断食が終わることには、すっかり酒・タバコへの欲求が消え去っています。

 再びそれらを再開しようにも、

「体が受け付けてくれない」

「また依存症になるのに逆に苦労する」

 ほどだとか。

 通常、禁酒や禁煙とは、長い戦いを覚悟せねばならぬもの。

 少なく見積もっても、数ヶ月は、酒やタバコに対する誘惑と戦わねばならぬでしょう。

 それが一週間で解決するなら……

 これほどお得なことはないでしょう。

身心の回復と機能UP! 潜在能力の解放も!?

 断食は消化器官を排泄に専念させますが、またその他全身の各器官を、休息・治癒に専念させます。

 不運にもタチの悪い怪我をしてしまった、とあるベテランスポーツ選手がいました。

 手術はなんとか無事成功。しかし、それなりの期間を要するリハビリが必要となることは避けられませんでした。

 年齢的にも全盛期とはいえない歳です。

 リハビリ治療が、あまりに長引くようなら、

「引退も考えねばならない……」

 状況におちいってしまったそうです。

 そこで藁にもすがりつく気持ちで頼ったのが断食療法。

 もともと大食漢だったこともあり、非常に苦労したそうですが、その断食期間を終えた頃、彼の怪我は魔法のように……とはいかないまでも、かなり良い状態になっており、その後のリハビリも順調

 医師の最初の見立てより、相当に早く、完治と相成ったそうです。

 それだけでは終わりません。

 再び練習に復帰したその選手。

 完治は早かったものの、それなりに長期間練習から離れていたわけです。相当身体がナマっていることは覚悟しておりました。

 が、いざ練習を再開してみると……

 意外と、体がスイスイ動く

 むしろ、怪我の前より調子がいいくらいだ。

 それは半分は、彼の気のせいだったでしょう。病み上がりの身体の動きが予想より良かったので、そのように錯覚してしまったのでしょう。

 けどもう半分は……本当です。

 その後、この選手はどんどん調子をあげ、若い頃でもこなせなかった厳しい練習メニューを楽々とこなし、本番の大会においても、そのキャリアのなかで最高の成績を収めることに成功したそうです。

「ファスティングで、自分の潜在能力が解放されたとしか思えない」

 と彼は語ります。

頭が良くなる!

 また身体だけではありません。

 断食で頭が良くなる……少なくとも「良くなったと感じる」ことは、多くの実践者たちが体験していることです。

 古くは鎌倉の世。日本仏教界を代表する名僧のひとり、日蓮大聖人のお話。

 若き日の日蓮大聖人。後の偉人も、修行中はなかなか経文の暗唱ができずに苦労していたそうです。

 それではいけないと決心し、御堂にこもって21日間の断食した結果、「頭は秋空のように晴れ渡り」らくらくと経文を暗記できるようになったのです。

 偉大なるいにしえの大聖人だけではありません。いま現在の普通の人々でさえ、断食によって「自分は天才になったのではないか」と思えるほどの頭の冴えを経験しているのです。

睡眠時間が短くなる! 一日3~4時間睡眠でもへっちゃらに

 みなさん、一日何時間寝ておられるでしょうか。

 6時間? 7時間? 8時間? それともそれ以上?

 一日に10時間くらい寝ないと耐えられない、という人がいる一方、4~5時間で十分という人もいます。

 まこと、ひとによって個人差が激しいのが睡眠時間です。

 それにしても、人はなぜ眠くなるのでしょうか?

 シンプルに答えましょう。疲労しているからです。

 でも、一日中ゴロゴロして、疲れるようなことはなにもしなくたって、夜は眠くなるじゃないか、という意見もあるでしょう。

 もう少し具体的に答えましょう。ひとは食事により、消化器官を疲労させたために、眠くなるのです。

 断食をすると、睡眠時間が自然と短くなります。

 食事をしなくなることで、これまで消化吸収のためにかかっていた消化器官への負担がなくなるからです。

 一日3~4時間睡眠でもへっちゃらになります。

 しかもすでに上に書いた多くのメリットにより、体調もすばらしく良くなっていますので、短時間睡眠により得られた多くの時間を、極めて有意義に使うことができるようになります。

 これまでにないクリエイティブな自分自身に、驚嘆することでしょう。

痩せる!

 当然、痩せます。劇的に。なんたってなにも食べないのですから。

 それなりの期間(1~2週間)、断食を行えば、10キロ程度は簡単に落ちるといわれています(むろん元の体重や体質により、個人差があることはいうまでもありません)。

 ただこのメリットは、おまけ程度に考えておくべきでしょう。

 急激な体重低下は結局リバウンドにより元に戻るものだからです。

 あくまでファスティングに期待すべきなのは、体質改善

 身体の悪いものを出し切ってしまい、自身の肉体を痩せやすい身体にリセットするのです。

 断食による減量にしても、10キロ落ちたものをその後8キロ戻し、結果、最初と比べマイナス2キロ程度に落ち着ける…くらいであれば簡単だそうです。

断食の注意点、難しい点

 そんなすばらしい断食健康法ですが、実際におこなっておられる方はそれほど多くありません。

 やはり、それなりに敷居の高い健康法だからです。食後に錠剤を飲むだけでOKというようなものとは違うのです。

 断食に初挑戦する時というのは、心理的にも大きな抵抗感を感じるものです。

 断食の利点を知り「いいね、いつかやってみたいいね」とは思うのです。だが本当にやるかやらないか、となると……

「ありえないだろ。まったく食べないなんて、そんなことが可能なわけはない」

 そんな気持ちになり、怯んでしまうのです。

 また、厳守せねばむしろ健康を損なう……場合によっては命に関わる注意点もあります。

 こんどは、断食のそういった注意点、難しい点を考えていきましょう。

減食、復食の重要性

 断食の前後に、必ず行わねばならないのが「減食」「復食」

 「減食」とはすなわち、断食に向けて、少しずつ日々の食事量を減らしていくことをいいます。

 全体的な量はもちろん、刺激の強いもの、脂質の多いもの、消化に悪い動物性のタンパク質なども避けるようにし、断食開始1~2日前にはおかゆや重湯のみを取るようにします

 そうして身体を慣らしていき、断食期間に入って、◯日後……断食期間、無事終了。

 やっと終わった、ああお腹が空いた、さあごちそうを食べるぞ! なんてことをしては絶対にいけません

 そんなことをすれば、冗談じゃなく、命に関わります。

 これまで長期間にわたりまったく食事を受け入れてこなかった敏感な胃腸に、突如として濃厚な栄養素を注ぎ込んでしまうと、腸捻転やショック症状の類いを起こしてしまい、場合によっては死に至ることもあるのです(当然ながら、断食期間中、食欲に負けてドカ食いするのも厳禁です)。

 ではどうすればいいのかというと、それが「復食」です。

 「復食」は「減食」の逆。

 断食終了後の一日目は、重湯のみ。二日目はおかゆ。三日目からは野菜もつけて……という感じで、少しずつ日々の食事量を増やし、元へと戻していくわけです。

 「減食」と「復食」をどのくらいの期間おこなえばいいのかは、断食期間がどれくらいの長さなのかによります。

 バッチリやるなら、減食、復食ともに、断食期間と同じくらいが理想といわれています。

 三日の断食なら、減食、復食、それぞれ三日ずつ(減食3日間+断食3日間+復食3日間=計9日間)

 一週間の断食なら、減食、復食、それぞれ一週間ずつ(減食7日間+断食7日間+復食7日間=計21日間)

 という感じです。

長期断食は指導者の下で

 1~3日間くらいの短期断食なら、ご自宅でひとりで実践してもほぼ問題ないといわれます。

 しかし、一週間以上の中~長期断食に関しては、是非とも適切な指導者の監督の下で行うべきです。

 上記の「減食」「復食」をどのようなメニューで、どのくらいの期間やればいいのかなどは、専門家の意見を聞くべきでしょう。

 万が一、食欲に負けてドカ喰いし、ショック症状を出してしまった場合。あるいはなにか予想外の体調不良が出てしまった場合……

 断食の知識のある指導者がそばにいないと、適切な応急処置が得られない可能性があります。

 長期断食に興味のある方は、まずはネットで「断食道場」と検索してみましょう。

「宿便」の是非!? 理屈的にはおかしい部分も

 古くからある健康法、断食。

 その効果は古来より無数の実践者たちにより実証されてきたわけですが、語られている「理論」という点では、あやしかったり、おかしかったりする部分もあります。

 特に物議を醸すのが、「宿便」問題。

 宿便とは、腸の内側、ヒダヒダになっている部分にこびりついている未排泄の大便や老廃物のことだといわれています。

 断食をすることで、消化器官の「排泄」は徐々に活性化していき、ついにあるとき、ほとんど腸壁と一体化していたかに見えたこの宿便が、はがれ落ちます。何も食べてなくて空っぽのはずの腸内から、ウンチとなって出てきます。

 下痢気味のものがドバーッと出るとか、堅い玉状のものがポロリと出るとか、ひとによって差はあるようです。

 ともあれこの宿便が排泄された直後、断食実践者はこれまで味わったことのない爽快感、解放感、幸福感を感じるといいます。

 これまでずっと毒素として体内に停滞し、新陳代謝等々、肉体の生理作用の邪魔をしていた宿便が消え去ったのです。まさに生まれ変わったような心持ちです!

 断食の最大の効果、最大の目的とは、この宿便の除去にあります!!

 宿便が除去されるからこそ、断食は最高の健康法として古代より利用されてきたのです!!!

 ………………と、

 語られてきたわけです。むかしから。

 しかしながら、昨今においては、この「宿便」「除去」理論に関しては、間違いなのではないかといわれています。

 その理由としていわれていることは、

  • 内視鏡や手術等において、人の腸内を目視することのある医師が、「宿便なんて見たこともない」と証言している。
  • そもそもひとの腸壁は新陳代謝により日々はがれおちるものなので、便や老廃物がこびりついたりはしない。
  • 断食開始しばらくたって強烈なお通じが来ることを「宿便の排泄」というが、腸内の新陳代謝は断食中でも普通に発生するので、何も食べなくともモノが出ることはある。

 といった事柄。

 実際、現代医学的に考えて、

「断食による宿便除去理論はウソ! そもそも宿便なんて存在しない!」

 という考えが有力な模様です。

 けれども……

 やはり、断食を開始してしばらくたって、謎のお通じがドバーッときて……そして最高の気分を味わっている人々は確かにいるわけです。

 となると、理論は間違っているかも知れないけど、やっぱりそこには「なにか」があるのだ……とは考えられないでしょうか。

 宿便はないかも知れない。しかし身体の持つ自然なデトックス・アンチエイジング作用が強まった結果、体内(血液中だとか)に滞っていた毒素が腸に集まり、便と一緒に排泄されたのだ、とか……

 いま書いたのは適当な仮説ですが、そういう「なにか」があるのかも知れない、とは考えられないでしょうか?

次回予告

 いかがでしょう。

 断食・ファスティングに挑戦してみたいような気持ちになりましたでしょうか。

 上に書いたとおり、一週間以上の中~長期断食に関しては、断食道場などで指導者のもと、おこなったほうが無難です。

 そこで次回は、ご自宅でもできる短期間のプチ断食法5選をご紹介しようかと思います。

 続く!

(以下、参考になるオススメ書籍です)

【writer : doku】