烏龍茶

 烏龍茶について深く知ることが、人生における意外な幸福への道かも知れません。

茶葉から入れる烏龍茶

 むろん、烏龍茶というものをまったく知らない方はおられないでしょう。

 どこにでも売っています、烏龍茶。スーパーでも、コンビニでも、自販機でも。ペットボトル入りの烏龍茶は、何年にもわたって、飲料業界のベストセラーであり続けています。

 もちろん、それらも烏龍茶です。しかし、本場たる中国や台湾で製造された「茶葉」から煎れる烏龍茶は、それらとは別物に思えるような、独特かつ神秘的な魅力を秘めているのです。

烏龍茶と青茶(チンチャ)

中国茶器

 烏龍茶は、中国茶の分類では青茶(チンチャ)になります。

 青茶は半発酵茶です。茶の木より収穫された葉っぱを茶葉へと製造する過程で、必要に応じて発酵をさせるのですが、その発酵度合を20~80%にとどめたものとなります。

 ちなみに完全に発酵させると紅茶、無発酵で製造すると緑茶になります。

 じゃあ緑茶と紅茶の合いの子なんだろう、と思われたかも知れませんが、実際には緑茶とも紅茶とも異なる味わい、香り、効能を有しています。

(余談ですが、「烏龍茶は青茶の一種」なのか、それとも「烏龍茶は青茶の異称」なのかは判然としません。

 以前気になって調べたことがあるのですが、前者だという文章もあれば、後者っぽいことが書かれた文章も見つかり、いまいちよく分かりませんでした。

 本当は烏龍茶ではない青茶が、慣習的に烏龍茶と呼ばれている? ように思われる情報もありました)

初めての本格烏龍茶、その驚き

烏龍茶

 さて始めて「茶葉」の烏龍茶を買った人が困惑されるのは、その茶葉の形状でありましょう。

 コロコロした、黒っぽい、謎の球状物体。なんだこれは? これがお茶の葉なのか? そう思われることでしょう。

 ともあれ気を取り直し、パッケージないし説明書を参考に分量を量って(最初の内はキッチンスケールを使って正確に計量するのをオススメします)、それを事前に温めておいた急須に入れます。

 日本茶や西洋式の紅茶であれば、そのままお湯を注ぐところです。

 中国茶の場合は? もちろん、同じようにお湯を注いでも構いません。

 本格的な煎れ方ということになると、下記リンク先のような工程を経ることになるのですが、日常において中国茶を煎れるのに、そこまでする必要はありません。

 ただ、

「洗茶」

 という行為に関しては、絶対ではありませんが、推奨されることが多いようです。

 洗茶とはなにか?

 茶葉を入れた急須に、少量のお湯を注ぎ、茶葉に馴染ませたあと捨てるのです。これを1~2回行います。

 まさに茶を洗う行為ですが、実際には洗浄というより、茶葉を温め、成分が抽出しやすいコンディションにウォーミングアップしてあげる目的で行うようです。

 その洗茶をおこなった後で、改めてお湯を注ぎます。その後、烏龍茶初心者は次なる驚きを味わうでしょう。

 それは香り―――急須から漂ってくる香りです。

 ひょっとすると少し困惑するかも知れません。

 とても良い、けれども日本茶のそれとはかけ離れた、お茶とはイメージしがたい香りがするからです。むしろなにか、スパイシーなスープみたいな……そんな感じがするのです。

 第三の驚きは、まもなく訪れます。あの黒っぽい謎の球状物体だった茶葉が、お湯の中で水分を含み、崩れ、広がり、真の姿を現すのです。

 その姿、とは……葉っぱです。木に生えている、あるいは道ばたに落ちているのと同じような形をした葉っぱなのです。

 日本茶や西洋式の紅茶などは、製茶の際に茶葉を刻みますが、中国茶の場合は茶葉を刻まず、手もみして球状の形にするのです(もちろん種類にもよりますが)。そこにお湯を注ぐと、こうしてもとの状態に戻るわけです。

 ガラス製の透明な急須などで、球状の茶葉がゆっくり葉っぱへと戻ってゆく様を眺めるのは、なかなか楽しいものがあります。ちなみに中国茶には、お湯を注ぐと茶葉の中に仕込まれた花が開花する工芸茶といわれるお茶もあります。

工芸茶

 抽出の時間は茶葉の形状などによりまちまちですが、日本茶や紅茶などよりは長いことが多いです。大抵は説明書きがあるでしょうから、それに従いましょう。

 さて抽出がおわりました。場合によっては、この時点、あるいはもっと前の時点で、また別の驚きを得ているかも知れません。

 それはお茶の色です。前述の通り、烏龍茶は発酵度合20~80%の半発酵茶なのですが、その発酵度合いによって、お茶の水色(すいしょく)が大いに変わってくるのです。

 紅茶に近い高発酵の烏龍茶でしたら、我々が見慣れた茶色~黒っぽい水色になります。しかし軽発酵ぎみの烏龍茶の場合、その水色は淡い黄緑色~金色になります。

「私の知ってる烏龍茶と違う!?」

 とびっくりされるかもしれません。

 ともあれ入れおわったのですから飲んでみましょう。香りを嗅ぎ、一口飲んで、最大の驚きを、文字通りに味わいましょう。

 煎れたての烏龍茶のその濃厚な味わい。さきほどスパイシーなスープのような香りがすると申しましたが、その味わいもまた、お茶とは思えない「強い」うまみが感じられるのです。
 
 普段ペットボトルなどで飲む烏龍茶とはまるで違うおいしさです。もちろんこっちのほうがおいしいのですけれど、良いとか悪いとか、上とか下とかではなくまさに別物―――違う飲み物に感じられます。

 ともあれそのエキゾチックな香りと味わい、そのなかに含まれるカフェインとテアニンは、飲む人の臓腑を温め、消化器官を清め、血の巡りをよくし、脳を目覚めさせ、精神を活性化させてくれることでしょう。

(なお烏龍茶をはじめとした中国茶の多くは、茶葉が大きいため、何煎も繰り返して入れることが可能です。2煎目、3煎目はちょっと抽出時間を長めにしてみましょう)

烏龍茶の健康効果

烏龍茶

 烏龍茶は半発酵茶ですので、緑茶ほどの量ではないですがカテキンも含まれています。

 ですが烏龍茶のなにより有益な成分は、重合ポリフェノールと呼ばれる、他のお茶にはない成分です。

 その最大の働きは、脂質に対するもの。食事に含まれる余分な脂質の吸収を抑え、体外に排出してくれるのです。

 ダイエットに、健康に、実に効果的であるわけです。

 烏龍茶の脂肪に対する効果を理解するには、簡単な実験が有効です。

 食事と共に烏龍茶を飲んだ後、洗う前の食器―――油ものに使っていたお皿などがいいでしょう―――に、飲み残しの烏龍茶をかけておくのです。

 しばらく置いた後、皿洗いをすると、いとも簡単に油汚れが落ちて、びっくりすることでしょう。

 実際、烏龍茶の成分はガラスの油膜取りなどにも使用されるそうです。

 一方、その効果はかなり強烈でもあります。飲み過ぎには注意せねばなりません。

 喉や胃腸から脂質が落ちすぎ、粘膜を損ね、体調不良に陥ってしまう可能性もあります。

 ダイエットにいいからと、大量にガブ飲みするような行為は避け、自分自身がおいしい、心地よいと思える量を飲むようにしましょう。

優雅なる趣味

 エキゾチックかつ高貴な香りに包まれる、烏龍茶によるティータイムは実に幸せな時間です。

 健康のために、そして優雅なる趣味として、本格烏龍茶、始めてみてはいかがでしょう。

 手軽に入手できる本格烏龍茶として、台湾・久順銘茶の品があります。日本語の説明書きもありますし、気軽に試せる、いいお茶です。

【writer : doku】